労使問題Q&A

偽装請負、労働者性の判断基準は何ですか

当社は映画制作等を行っている会社です。よいものを作ろうとすれば、映画制作は多くの人が必要となりますが、昨今の経済状況の悪化でなかなか正社員として雇い入れられないのが実情です。かといって、パートタイマーで雇い入れるには責任、時間に限界があり保険料コストもかかります。このため個人業務委託として請負を行っています。何か問題があるでしょうか?
会社の指揮命令を受けて仕事をしているようであれば、個人への業務委託は偽装請負(広い意味での)にあたります。
「請負」とは、当事者の一方が相手方に対し、仕事の完成を約束し、他方がこの仕事の完成に対する報酬を支払う事を約束する契約形態を言います。「仕事の完成」という点がポイントです。
完成が目的なので、その間の過程は問わないということです。ここが雇用と異なります。

昭和60年に「労働基準法研究会報告」から、「労働者」の判断基準について詳しく述べられています。

労働基準法の『労働者』の判断基準について (昭和60年「労働基準法研究会報告」)概要のまとめ
 労働基準法第9条の「労働者」 とは
「指揮監督下の労働」+「報酬の労務対償性」(両者をあわせて「使用従属性」と言う)
「指揮監督下の労働」に関する判断基準

仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

諾否の自由あり  →  指揮監督関係は否定
諾否の自由なし  →  一応指揮監督関係を推認させる重要な要素となるが、 契約内容等加味

業務遂行上の指揮監督の有無

業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無
 使用者から具体的な指揮命令あり   →  指揮監督下にあり
ただし通常発注者が行う程度の指示等にとどまる場合  →  指揮命令下になし
通常予定されている業務以外の業務時従事することがあり  →  指揮監督下にあり
拘束性の有無:勤務場所、勤務時間が指定され管理されている  →  指揮監督下にあり。但し、業務の性質、安全性の確保等からの指定はこの限りではない。
代替性の有無:労務提供の代替性が認められている場合  →  指揮監督関係を否定する補強要素
「報酬の労務対償性」に関する判断基準

報酬が時間給で決まる

欠勤した場合報酬が控除される、残業した場合は 別途手当てが出る等
使用者の指揮監督下に一定時間労務を提供していることに対する対価と判断される場合  →  使用従属性を補強する要素となる。
「労働者性」の判断を補強する要素 以下の要素も勘案して総合的判断

事業者性の有無

本人が所有する機械、器具が著しく高価な場合  →  自らの計算と危険負担に基づいて事業経営をおこうなう事業としての性格が強い
報酬の額が当該企業の他の労働者に比して著しく高額  →  請負制が高い
専属性の程度他社の業務に従事することが制度上制約され、時間的余裕がなく事実上困難  →  労働者性を補強する要素
その他 採用の選考過程が正規従業員の採用とほぼ同じ
報酬について給与所得として源泉徴収している 服務規律を適用している 企業の人事制度を適用している  →  労働者性強い

 上記は参考例です。個別の事案により、労働者と見られるか、請負と見られるかが異なります。

 最近では、偽装請負に対する行政の措置が厳しくなっており、行政指導中心であった行政の手法は業務停止命令へと移行してきています。

 労働者と判断されれば、過去にさかのぼって、保険に加入することになり、ほかの労働者もまとめてしなければならなくなる、残業代の支払いが必要となるなど、ダメージは大きいものとなります。