労使問題Q&A

退職勧奨をしたいのだが

態度が悪く、気に入らない社員にやめてもらいたくて、退職勧奨をしたいのだけど・・・?
「態度が悪くて、気に入らない」というだけでは、解雇することができません。退職勧奨をすることはできますが、無理にやめさせたり、執拗に言い続けるなどの行為は、違法です。

元来、退職とは、労働者の自由な意思形成の元になされるものであり、被勧奨者の任意の意思形成を妨げる執拗な勧奨行為は、違法な権利侵害として不法行為を構成するとされています(下関商業高校事件・最一小判昭55.7.10・労判345号20頁)。

違法な退職勧奨の判断基準については

  1. 勧奨の回数
  2. 期間
  3. 言動
  4. 勧奨者の数
  5. 優遇措置の有無

などといった要素を総合考慮して判断されています。これらが、社会通念上許容される範囲を逸脱すれば、違法、と判断されます。

そのほか、フジシール(配転・降格)事件(大阪地判平成12.8.28労判793号13頁)では、ソフトプチ部の部長の単純労働への配転命令を「退職勧奨拒否に対するいやがらせ」とし、退職勧奨拒否した労働者に対する報復的な人事はそれ自体が退職強要となり違法としました。

一方で、許容される範囲内とされた裁判例は、大阪府教委(高槻市立玉川小学校)事件(大阪地判平成5.11.29労判650号36頁)では、保護者から苦情が出ていた教員に対して母親および妹を同席させて説得した行為について、様々な説明を受けながらの退職勧奨により、自らの意思で退職届を提出したと判断されました。この場合は勤務成績の不良や懲戒処分に該当する行為があったようで、労働者側にこういった帰責事由がある場合には勧奨の違法性を認めないと言う方向にあるようです。

退職勧奨は知らず知らずのうちにエスカレートし、いやがらせととらえられがちです。客観的に、冷静になって、どのように原ら気かけていくかを考えてから、相手の尊厳を傷つけないように気をつけて行わなくてはなりません。