労使問題Q&A

インフルエンザで休業した場合の手当ては必要か

従業員がインフルエンザにかかってしまったのですが、症状が軽いからと言って、出勤しています。他の労働者への影響を考えると休んでもらいたいのですが・・・?
新型か季節性かで、法的な取扱いが異なります。

もし従業員がインフルエンザにかかった場合、症状が重ければ普通は自主的に仕事を休みますが、中には出勤する社員もいるかもしれません。会社としては、他の労働者への感染を心配して出てきて欲しくない、というのが本当のところでしょう。それに対し、無理矢理でてくるな、と言えるのでしょうか。

その前に、インフルエンザを大きく2つに分けて考えて見ましょう。問題となるところで言えば、新型インフルエンザと一般の季節性インフルエンザとに分けられます。

新型インフルエンザは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、「感染症予防法」と言う。)において、2類感染症に指定されており、感染症予防法では、1~3類感染症については、都道府県知事の就業制限があるとされています。したがって、会社は新型インフルエンザにり患した労働者に対し、就業禁止を命ずることができ、その際は、自己の健康管理に不備により労務の提供を行う義務を果たせないことになり、ノーワーク・ノーペイの原則にしたがって、賃金や休業手当を支払う必要はありません。もちろん、医師の診断が大切です。

一方、季節性のインフルエンザの場合は、感染症予防法において5類感染症に指定されているため、感染症予防法上も、労働安全衛生法上も就業制限の対象とはされていません。したがって、就業規則の規定や業務命令により自宅待機させた場合は、会社の都合による休業となり、賃金又は休業手当の支払いが必要になります。もちろん有給休暇の取得も可能です。ただし、有給休暇消化については、有給休暇請求権が本人にある以上、就業規則で一律に定めることはできず、個別に相談すると言う形になります。また、傷病手当金を使うといった方法もあります。

一方、同居の家族に感染者がいる場合やおそれがあるため、事業主の側からかかっていない労働者を休ませるような場合は、労働者自らの責めに帰すべからざる事由により出勤停止を命じられるのであるから、民法第413条の債権者の受領遅滞となり、民法第536条第2項の危険負担の規定により賃金を受ける権利を失わないとされます。会社はこの場合、6割の休業手当を支払う必要は当然労働基準法上ありますが、残りの4割については労働者から民事上の請求があった場合は、支払わなければなりません。ただ、民法のこの規定は任意規定なので、あらかじめ、雇用契約書等で危険負担適用について排除しておけば請求権の問題は生じません。

産業医は全業種で50人以上の労働者のいる事業所で必要ですが、50人未満でも医学的知見のある医師を選任する努力義務があります。

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