ネット・さかみち

39歳のつぶやき/田辺 初枝

 縁あって鈴木事務所と共に歩んできた私も来年は四十路を迎えることになる。
 今、日本女性の平均寿命は八十六歳位であろうか? とすると私も、もうそろそろ人生の折り返し地点かもしれない。(もっとも我が家には今年九十一歳になる祖母が健在なので今少し寿命が延びるかも」れないが?)光陰矢の如しというが、どんなにエライ人でも、お金持ちでもこればかりはどうにもならないというのが時間である。小さい時、母から『時間は縦に流れる、現在はここにあり。』とよく聞かされたものだが、まさにこの時間と対処するための方策はいかに? 最近、自分はこの三十九年間、果して有意義に過ごしてきたのかどうか、時々考えることがある。ただやみくもに生きてきただけのような気がする。この年齢、この時期に今までの歩みを振り返り、後半をどう生きるのか、まさにさかみち、考えさせようとしてくれている。

 これからは人生の下り坂を降りるだけなのかと思っていたら無精に寂しさがこみ上げてきた。五十代・六十代をどう生きるのか、そんな思いにもとらわれる。子育ても今一番大切な時期なので目が離せないが、これとてあと五年もすれば完全に手が離れる。そのあとの人生設計をどうするべきか? そんなことを考えていたら、お客さんの広告会社を通じて『とらば一ゆ』のビジネス欄にこうすれば取れる体験者のアドバイスと称して、転職、独立、収入アップのための最強の資格というタイトルで取材させてほしいとの要請があり、社会保険労務士欄に掲載されることになった。

 私の場合はもう試験をとってから十二年目になるので知識がウロ覚えとなっている。掲載欄にあるが、資格を取ったあとのアフターケアがかなり大事になってくる。このあと、さらにいろいろな資格試験に挑戦するもよし、社労士の中で専門分野をきめて取り組むもよし、だが自分の場合はどれもしないで月日が経過してしまったのでこれからなんとかしなければ、と昨年からボチボチ社労士の受験講座にも行きだしたりもしているが、本当に真剣に本腰を入れて年金と労基法分野には挑戦しなければと痛切に感じる。それと同時に昨年事例研究で賃金管理のさわり”労働生産性”について所長より講義をうけた。学生時代に恩師から言われた歴史と経済が生きていく上で必要な学問であるという思いも頭を巡らせている。

 あれやこれやと考えてきたら、もう感傷になんかひたっている暇がなくなってしまった。

 健康な人間にも「あなたはガンだ」と二週間毎日言っていたら本当に病気になってしまったという例があるが、私達が最も失ってしまってはいけないものがチャレンジ精神のような気がする。人間ややもすると感傷に陥ることもある。まあそれは仕方がないではないかと自らうなづいた。そういった意味で事務所は私のこれからの人生設計を少なからず考えさせてくれた。

 55歳を過ぎたら本格的に学ぼうと思う。それだけの条件づくりも今から用意しよう。それにはそこに至るまでの自分自身が輝いていなければ、そんなことを思いめぐらしながら・・・。

1994年 さかみち 2号より
back close next