ネット・さかみち

母/今井 直子

 母と私の出会いはもう32年も昔のことになる。兄、姉と続き、父と母の第三子として誕生した私は、3,615gと当時としてはジャンボな女の子であった。
 末っ子であった私はいつも母と一緒にいた。食事のときも洗濯物を干す時、買い物だってもちろん一緒で当たり前の事だった。一番下の子ということもあり母も私と離れたがらず、周りのお友達が2年あるいは3年保育で幼稚園等へ通う中私は母が離さず一年保育となった。だからと言って決して母は優しいだけではなく、私と姉には兄とは違い、とても厳しく、いろんな事を子供ながらに手伝いをさせられた記憶がある。
 その後、小・中・高校と進むにつれどちらともなく自然と子離れ、親離れをし、現在にいたっているが、そんな母と過去に何度か旅行に出掛けた事がある。時々電話で孫達が煩わしい様な事を口走るので、たまには静かにのんびりなんて誘い出しても結局一番嬉しそうな笑顔をのぞかせるの孫の話をしている時。もう母は私達兄弟の母だけではなく孫たちのおばあちゃんでもあるのです。
 昔の母は厳しくよく叱られたものだが、現在は私が何を言ってもただひたすら聞いてくれるだけ。そんな母に淋しい気もするが、売れ残った私に頭を悩ますふりをしながら、孫達に囲まれ賑やかにそして元気に過ごす母に、父の分まで長生きして欲しいと祈るだけです。

1996年 さかみち 4号より
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