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ママの「社労士」受験奮闘記/原 圭子

平成17年11月11日、第37回社会保険労務士試験の合格発表がありました。通称「社労士」と呼ばれるこの資格は、国家資格です。試験は年一回、合格率は毎年微妙に変動します。平成17年の合格率は8.9%でした。試験内容は、午前は選択・午後は択一です。「足きり」といって科目毎に一定の点数を取らなければそこで終わり、また来年チャレンジです。合格基準点は満たしているのに、この「足きり」で1点足らず不合格となり、泣くに泣けない受験者が毎年多いのがこの試験の特徴です。

8月28日の試験日から2ヵ月半、受験者は皆、様々な想いでこの日を待っていたことでしょう。幸いにも私は合格することができ、受験生という辛く苦しい立場から開放されました!今年落ちたらもう諦めようかとも考えました。というのも、私には小学校1年生の息子と5才の娘という二人の子どもがいるからです。

去年は3月から事務所近くの資格学校に夜間週2回通い、休日も答練や模試等で学校に行く日が多く、土曜日やお盆の時期も、子どもには(当時二人とも保育園児)保育園に行ってもらいました。仕事も試験近くは一週間休みをとり、最後の追い込みを家でするつもりでした。するつもりだったのです、私はしたかったのです、が…、息子が「おたふく」にかかり外出禁止となりました。この病気は熱がある2.3日だけしか具合が悪くなく、あとは腫れが引くまで外に出られないだけで、本人はいたって元気なのです。子どもが一人で遊べるようにと、ビデオを解禁にして、「何回でも観ていいよ♪」と言ったものの、母親としての後ろめたさが残り、つい絵本を読み、一緒に遊んでしまいました…。これなら一人で時間が潰せるだろう、と考えて付録つきの幼児雑誌を買ってあげたらまだ自分で作れず、私が何時間も掛けて(以外に難しい)泣く泣く作るはめになりました・・・。昼間の運動量が足りないせいか、夜も早くは寝てくれず、思うように(全然)試験勉強ができませんでした。ようやく医者から保育園の「登園許可」が出たのも束の間、しっかり妹にもうつっていました。試験勉強の追い込みのために無理して取った休みは、全て看病休暇となって消えてしまったのです。合格発表を待つまでもなく、試験を受けている最中に、来年こそは頑張ろう、と涙を呑んでいました。

そして迎えた新年、なんと私は保育園の「卒園対策委員」だったのです。幸いにも同じ役員の中に、小学校の先生と市役所の職員、児童館の館員がいたので、テキパキト事が運び、気がついたら私が会計係になっていました。会計なので報告書も私の仕事となり、卒園式が終わっても、まだ会計報告や経過報告、次代への引継ぎ・反省等に3月末まで悪戦苦闘が続きました。4月になり息子が小学校に入学しました。今まで妹と別々の保育園に通っていたので、これで少しは楽になる、と思っていた私ですが、実際は大違い。宿題はあるし、答えあわせを親がやらなければならないし、小学校の給食が始まるまで毎日お弁当作りに追われ、父母会も学童が増え3箇所になり、新学期で何かと会合があり、毎日追われていました。今年度は役員はやらないぞ!と決めていたのに、娘の保育園でくじ引きを引き当ててしまい(私ではなく息子が)、また役員になってしまったのです。そんなこんなで今回は、模擬試験も一切受けず、独学でいくことにしました。

そして追い込みの夏になり、小学校の1学期修了日、息子は初めての夏休みにワクワクして帰ってきました。明日からは夏休みだから学校はずーと休みだと聞かされてきた息子に、私は言いました「ママはお仕事だから朝から学童だよ。試験も近いから土曜日も学童に行ってもらいます!」と。息子はあまりのショックに泣きながら「僕の夏休みは6日しかない!!!!!」と喚いていましたが(日曜日だけという意味らしい)、「いいねえ6日もあるんだあ。ママは休みなんてないよ~いいなあ6日もあって!」と冷たくあしらいました。それでもしぶしぶ学童に行ってくれたかわいい息子です。追い込みの夏、知り合いに「夏休み子ども陶芸教室」に誘われ、断れきれず泣く泣く親子で参加する羽目に・・・7・8月の日曜日の午前中はほとんどこれで潰れました・・・子どもは喜んでいましたが、私は・・・。試験間際、気弱になった私は「ママ今年もダメかも…」と息子に愚痴をこぼしたら「ママが今年試験に落ちても、来年は絶対に土曜日は学童には行かないからね!」と宣言されてしまいました。優しい娘は「大丈夫、来年も土曜日保育園に行ってあげるからね♪」と不吉なことを笑いながら言うのでした。。。仕事から帰ってきて、家事を終わらせ、勉強を始めるのが早くても10時半過ぎ。目を休めるだけと思いつつ目を閉じてそのままダイニングテーブル、ソファーで寝ることほぼ毎日。なんでこんな思いをしてまで試験を受けなきゃいけないのか、来年は絶対嫌だ、今年で最後、と何度も考え、息子も来年は土曜日学童に行かないと言っているし…、でも諦めたら今までの苦労が・・・と、気弱になること数しれず。

試験前3日間お休みをもらい、子どもを送り出してから帰ってくるまでは、家事は一切やらず、昼食もお茶づけ・玉子かけごはんで済ませているのに、どうしてどうして・・・激しい雨のせいで学童から送迎を要請され、泣く泣く貴重な時間を割いて息子を迎えに行きました。事情を分かっている学童の先生は恐縮して何度も謝ってくれました。保育園では下の子が37度9分の熱をだしていました。けど、「元気そうだからお迎えの電話はしませんでした。」と、これまた事情を分かっている先生が嬉しい配慮をしてくれました。周りの人の協力を得て、最後は何とか勉強する時間を確保できました。

今振り返ると、辛い日々はとても充実した日々でした。ここ何年かは「社労士夏の陣」でしたので、今年は久しぶりに、私も子どもも、夏休みを味わうことができました。子どもたちに、母親の頑張っている姿を見てもらえことは良かったと思います。「努力すれば報われる」息子は私の背中を見て、感じとってくれたかな?娘は、何も覚えていないんだろうなあ・・・。

2006年 さかみち 13号より
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