ネット・さかみち

祖母からのプレゼント/小沢 玲子

 今年の夏はとにかく暑くて、毎日のように、テレビのニュースで「気温が記録更新」と伝えられていましたね。私の母の故郷の群馬県は山に囲まれていて、夏は暑くて有名です。母の実家がある伊勢崎市も今年は39.8度まで気温が上昇したと、ニュースになったりしていました。「伊勢崎」という言葉を耳にすると、伊勢崎に住んでいた祖母が亡くなったときのことを思い出します。

 祖母が亡くなったのは2年前の12月23日でした。親族一同が実家に集まり、その年のクリスマスは弔事で慌しく過ぎていきました。私は両親と兄の4人兄弟なのですが、父が単身赴任で離れて暮らしており、また母は父の実家で営む精肉店の手伝いに行っていたため、クリスマスは家族全員が揃って過ごす、ということはありませんでした。その時も父や兄は仕事の予定が、母は手伝いの予定が入っていましたが、祖母の悲報を聞き、それぞれがスケジュールを調整して駆けつけたのでした。

 葬儀がひと通り終わり、そのまま出張へ向かう父を見送ると、それまで家族全員でいたのに父がいなくなってしまって、心に小さな穴ができてしまったような寂しさを感じました。クリスマスを家族全員揃って過ごしたことは、物心ついて以来はじめてのことだったと思います。特にクリスマスらしいことは何もしなくて、自分の家族と親族で食事をして、こんな時だけどケーキあるから食べようか?(笑)なんて話していただけなのですが、今まで感じたことのない、とても和やかな時間でした。家族一人ひとりが時間調整をして時間を共有したことは非常に価値のあることで、普段から一緒にいたらその価値を感じなかったことでしょう。今年のクリスマスってものすごく貴重なものだったのだな、と心から思うのでした。

 クリスマスが近づくと必ず、祖母のこと、家族と過ごしたあの時のことを思い出します。祖母にはあまり会いに行けなくて、一緒に過ごした思い出は少なかったけれど、あの時間を祖母がプレゼントしてくれたこと、それが祖母との良き思い出になったのかな、と思いました。

2007年 さかみち 14号より
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