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社労士試験と「5つ」の大切なもの/横島 洋志

 「勝負は始まる前に99%決まっている。残りの1%は本番で力を発揮できるかどうかだ。」

 2007年8月26日。この日は本当に暑かった。私が受けた受験会場の教室は男だらけでかなり汗くさかったのを覚えている。いかに自分のペースでやるか。1点に泣いた昨年にリベンジすべく、自分との戦いはスタートした。

 社労士合格までの道のりには、いくつかのキーワードがある。それは私にとって『それがあると合格できなかったもの』と『それがないと合格できなかったもの』に分けられる。

 『それがあると合格できなかったもの』とは、「テレビ」「パソコン」である。私の場合、これが部屋にあると勉強にならない。特に見たいものがなくてもつけてしまい、長い時間をあっという間に消化してしまうためだ。今のアパートに引っ越してくる時、試験が終わるまではこれらを絶対に持ってこないと決めていた。まずは自分を誘惑するものを身の回りから取り除くことから私の受験勉強はスタートした。

 逆に『それがないと合格できなかったもの』は5つある。

 ①「予備校」。私は2度受験しており、予備校も2年通っている。2年目の受験勉強を始めるに当たって予備校選びを再考した。1年目と同じ勉強方法では受からないと感じたからである。勉強の量をさらに上げることは難しいので、質を変えるしかない。実際、その決断は後になって大きく返ってくることになった。

 ②「スタバ」。BGMが今も耳に残るくらいお世話になった勉強場所。図書館なども使ったりと場所を変えながらやっていたが、スタバはいつも集中できた。自宅ではどうしても自分に甘えが出てしまい、休憩時間のほうが長くなってしまうなんてことも少なくなかったので、外に勉強場所を見つけることも長丁場の受験勉強には欠かせなかった。

 ③「イメージ」。いくつかのイメージを持ちながら受験期間を過ごした。試験時間の中で問題を解いていくイメージ、合格するイメージ、合格後のイメージ。試験本番が近づいてくると不安は大きくなり、どうしても悪いイメージが頭をよぎる。それを払拭するために勉強を重ね、良いイメージをつくるための自信へとつなげていった。また、私には試験が終わったらどうしてもやりたいことがあった。だから時間も費用もこれ以上受験勉強にはかけられなかった。そういうプレッシャーを自分自身に適度にかけながら、その先をイメージすることで何とかモチベーションを保つことができた。

 ④「勉強仲間」。1年目も2年目も勉強仲間には恵まれた。問題を出し合ったり、進捗状況を確認したり、情報交換をしたり、時にする他愛もない話でリラックスもできた。受験勉強は孤独なものだが、同じ目標を持ち、一緒に頑張れるということはとても気持ちのいいものだった。

 ⑤「ハムスター」。私が初めて社労士の受験勉強を始めた頃から実家で飼っていた♂のハムスター。私が実家に帰りケージを覗くと、彼はいつもスタスタとこちらにやってきて、何とも愛くるしい姿を見せてくれた。その姿を見るたびに癒され、頑張ろうという気持ちになった。社労士合格発表の日の翌日、彼はこの世を旅立ってしまったが、合格証書は彼が届けてくれたと思っている。うれしい気持ちと悲しい気持ちが交差したこの日を忘れることはないだろう。

 2008年夏。今年は北京オリンピックが開催された。4年に一度。本番はあっという間に終わってしまう。オリンピックに照準を合わせる事ができた者だけがいい結果を残す。「結果がすべて」だ。4年間の練習の成果をたった一度、その一瞬で力を発揮できるかどうかに懸かっている。あの独特の緊張感はそこから生まれるのだろう。 社労士試験もまた同じである。私は「5つ」の大切なもののおかげで、本番の1%に懸けることができた。

充実した時間のスピードは速い。今振り返るとそこにあった時間はもう見えない。まるで夢でも見ていたようなその時間をいつかまた実感する時が来るかもしれない。

 今年、受験された皆さん、受験勉強たいへんおつかれさまでした。

2008年 さかみち 15号より
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