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心の病~メンタルヘルスを考える~/栖原 圭子

今年の3月に晴れて産業カウンセラーの試験に合格しました。なので今年のさかみちの原稿はメンタルヘルスについて少し書かせていただこうと思います。

さて、「心の病」とは何でしょうか?病気なら熱が出たとか身体が痛いなど症状が出るので、他の人にも「あの人は病気なのね」と、理解してもらえます。ケガの場合は見てすぐにわかるので、「大丈夫?無理しないでね」と、もっと理解してもらえます。しかし心の病は残念ながらそうした目に見える病気ではありません。見た目は一見普通に見えるので、他者には本人の辛さ、苦しさの共感がいまいち得にくいようです。普段接している人からみれば、何かいつもと違う、最近元気がないみたい、となります。そこから、どうしたの?何か気になることでもあるの?と、声掛けにつながりますので、普段のコミュニケーションがとても大切になってきます。

 自分自身を振り替えったとき、あのとき病んでいたのでは?という時があります。それは二人目の子供を出産し子育てが今までの倍以上に大変になったときです。ただでさえ腕白な二歳の男の子と、生まれたての赤ちゃんを一人で面倒を見なければならず、でも、しっかりと子どもと向き合わなければ、だって私は母親だから…との思いも強く…
当時は専業主婦だったので、家事もちゃんとこなさなければと、自分自身にプレッシャーを与えていたのだと思います。(周りのプレッシャーもありましたが)その頃の夫は21時に帰ってくれば早いほうで、月に一度か二度しかそんな日はなく、専ら子どもや私が寝てから帰宅していました。仕事だから仕方がないと、私も納得していましたが・・・。
育児雑誌の「ベランダの柵が牢獄の柵のように思えるときがある」という投稿記事を、私も共感できる、と思ったのを覚えています。
それぐらい私にとっては辛い子育ての時期でした。孤立無援の状態で毎日がしんどかったのです。そのような状況でも「誰か助けてよ、何とかしてよ」とは言えませんでした。言えるような状況・環境ではなかったですし、言ってみたところで、状況は変わらず、私の愚痴になってしまうので、諦めていたのかもしれません。態度には出ていたと思いますが(笑)
 子育てはゴールが見えているので何とかその時期を乗り越えられれば大丈夫です。子どもは大きくなると勝手に友達と遊び、ママはそばにいてくれればいいから、あとは自由にさせて!と、なります。少し寂しい気もしますが、これが子どもの成長です。親として喜ばなければいけません。 専業主婦の子育ては、限定された人としか話す機会がありません。私がたまに自分自身を「病んでいるな」と感じた時は、人と話す機会がほとんどない日が続いた時です。人間はやはり、ひとりでは生きてゆけないのだと思います。人との交わりが精神的な心の安定に繋がるのだと実感します。

日本では過去11年連続で自殺者が三万人を超えています。少子高齢化が進むにつれ労働力人口の減少が問題になっています。労働力を外国人に頼ろうと、介護や看護の世界では外国人労働者の受け入れが始まりました。少子化に歯止めがかからず、何とか産んでもらおうと子育て支援はどんどん手厚くなってきています。ここで、考えてみて下さい。新しく誕生する命の陰で、自らの命を絶つ人が毎日80人以上います。これがこの国の現状なのです。

自殺する人は心が病んでしまった人に多いようです。明日への希望を見出せず、親身に相談にのってくれる知人もおらず。心が孤立してしまった人が多いように思います。
先にも述べましたが、心の病気は目に見えないので、あれ?何か変だな、いつもと違うと思ったらメンタルヘルス不全かもしれないと思って下さい。21世紀はうつ病の時代です。5人に1人がうつ病にかかると言われています。なので、自分は大丈夫ということは決してないのです。もう一度言います。「人は支えあって生きていく生き物です。」なんか金八先生みたいになってしまいました(笑)

普段のコミュニケーションが、心の病の早期発見に繋がります。家族がいち早く気付くべきとの意見もありますが、仕事に追われ、家には寝に帰るだけという人の場合、家族とのコミュニケーションはなかなか取れないのが実情です。しかし職場は長い時間をともに過ごす場所です。職場の上司や同僚が変化にいち早く気づく環境にあるのです。

今も仲間が心の病で苦しんでいるかもしれません。
是非、会社で、職場で、メンタルヘルスについて考える機会を持っていただけたらと思います。

よりよい職場環境とは、社員同士のコミュニケーションが良好なこと、が重要なポイントだと私は考えます。

2009年 さかみち 16号より
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