ネット・さかみち

初めての宮古島/野﨑 弥乃

今年の2月、初めて宮古島へ行きました。宮古島は父の故郷で、今年還暦を迎えた父が、 「死ぬ前にもう1回見に行きたい。」 と言ったので、出発の1ヶ月前に夫がネットで探し当てた格安ツアーでの3泊4日の宮古島旅行が決定しました。

家まで迎えに来てくれた父は、朝のまだ5時台だというのに、ものすごく高いテンションで喋りまくり、そんな状態を維持したまま羽田空港から那覇空港を経由し、宮古空港へ到着しました。

レンタカーを借りて、オーシャンビューの美しいリゾートホテルに とりあえず荷物を置き、いざ父の生家があった場所へ…という時に、おもむろに伊達メガネをかける父。本島に住んでいる祖母に内緒で行ったので、親戚に遭遇した時の対策として、わざわざ準備をしてきたとのことでした。メガネをかけたくらいじゃ隠し切れない濃い顔なので、会ったらきっとバレるだろうと思ったけど、そこはあえて突っ込まず、車を走らせる事数十分、さとうきび畑の合間にある生家の跡地に着きました。父が小さい頃からあったという大きなガジュマルの木が目印となっていて、すぐに発見できました。家のすぐ近くに、昔いつも遊んでいたという通称 〝アブザ〟 という鍾乳洞があり、最近すごい観光地になったと祖母から聞いていたのですが、そこにはささやかな建物があり、下りて見られるような階段があったのですが、その日はお休みで閉鎖されていました。

その後、父が一番気になっていた、ムイガーという断崖の上の 〝今にも落ちそうな大きな石〟 を見に行きましたが、父が帰らなかった40年の間に海に落ちてしまったようで、その姿を見ることは出来ませんでした。本当は、 「ムイガーの崖を降りたところの海が最高だから、そこで泳ぎたい。」 という希望があったのですが、危険なので閉鎖されており、父はとても残念がっていました。

2日目・3日目には、遠浅の2ヶ所の海岸でシュノーケリングをしました。特に3日目に行った吉野海岸というところは、浜辺から数歩入ったところにもう色とりどりの魚がいて、数メートルで丸い緑色の巨大な珊瑚があって、泳いでいると魚が向うから寄ってくる…という理想的な美しい海でした。初日に張り切ってビキニで泳いでしまった夫は、海から上がって数分でガタガタと震えてしまうような気温だったのに、背中が真っ赤に日焼けしてしまい、後日ひらひらと皮が剥けてしまって大変でした。ちなみに、素潜りで捕ったばかりの蛸を全部砂浜に並べて見せてくれた親切な地元のおじさんは、全身をウェットスーツでガードしていました。(6匹の蛸は大粒の珊瑚の砂だらけでジャリジャリになっていました。)

その他には、釣具店の漁師さんの舟で石巻落とし漁をしたり、三線ライブがある居酒屋に行ったりと、宮古島を満喫した3泊4日の旅行でした。  父は、昔と変わらないところと変わってしまったところに一喜一憂し、色々と思い出に浸っていましたが、最後に、

「もう宮古島は(来なくて)いいな。」

と言いました。でも多分、また誘ったら一緒に行くと思います。


2010年 さかみち 17号より
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