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総代会で見た宮城/植田 秀樹

 事務組合業務の総決算ともいうべき総代会が今年も七月二十日に宮城県南三陸町志津川にある「ホテル観洋」で行なわれました。

 実はこのホテル、一九九八年の三月にまだ子供のいなかった私たち夫婦二人で宿泊したことのあるホテルで、昨年の津波報道で志津川の名前が出たときには「あのホテルは大丈夫だろうか」と奥さんと話をしていたのです。
それだけに今回、総代会の開催場所と知った時には正直大変驚きました。

 今回は仙台からホテルの送迎バスで約二時間かけて現地に向かったのですが、私たち夫婦が十数年前に行ったときはちょっとなじみのない古川駅(新幹線の停車駅)からホテルの送迎車で連れて行ってもらったことを覚えています。

 ホテルが近づいたとき、あたりが広場のようになった所を通ったのですが、よく見ると建物の基礎部分だけが残っています。
何の違和感もない広大な風景が、かつては住宅で埋め尽くされていたのだということに気付いた時、本当に呆気にとられてしまいました。

 以前行ったときに覚えていることは、ホテルでの夕食時、大宴会場でのマグロの解体ショーや中国雑技団が出演していたことなどですが、今回ホテルに着くや、その大宴会場を発見し、また、大きな「鷹」の像がホテル内にあって写真を撮った記憶があったのですが、その「鷹」も健在だったので、やっぱり同じホテルだ、と改めて懐かしさがこみ上げてきました。
聞けばホテルはかなり高台にあり(何しろロビーが五階)震災時の避難場所にもなっていたそうですが、当時の様子を、ホテルの従業員がガイドを勤めた「語りべのバス」の中で聴くことができ、震災経験者の生の声が聞けて身に迫るものがありました。
特にその若い男性のガイドさんが奥さんと生まれたばかりのお子さんと離れ離れになり、再会するまでの顚末を聞かされたときは人ごとではありませんでした。

 また、そのバスであの有名な「防災センター」を訪れたときのことも忘れられません。
目の前で職場の同僚が流されていったわけですが、聞くは易く、言葉では言い尽くせない現実に圧倒されてしまいました。

 言葉を失うことばかりでしたが、総代会も無事終わり、東北の復興を一日も早く願うばかりの今日この頃です。

2012年 さかみち 19号より
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