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世界遺産/島田 光英

 毎年夏になると家族四人で実家の富山へ帰省しています。
今年は娘が受験のため、息子と二人で行くことに・・・

例年私の両親と六人で海の近くに宿を取り(取ってもらい)泳いだり、釣りをしたりして過ごすのがお決まりなのですが、今回は釣りは良いとしても高校生の息子が父親と二人で海水浴も無いだろう(決して息子にイヤだと言われた訳ではありません。
聞くのが怖いので聞いていません。
)ということで、今年は富士山が国内十七番目の世界遺産に登録されたこともあり、かなり無理がありますが富山県と岐阜県に跨る世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」に行くことにしました。

実家(中新川郡上市町)から白川郷までは約百㎞、東海北陸道の城端を過ぎた辺りからは山・山・山、更に山、集落があるような場所に向かっているとは思えません。
深い谷に川(庄川)が合流し、やがて箱庭の中にマッチ箱を疎らに置いたような合掌造りの小さな村が見えてくる。
(おぉあれか!)実家から遠いとはいえ、同じ県内(白川郷は岐阜県)でもあるので子供のころから写真等で見てはいるのですが確かにこんな景色は他には無い!(だから世界遺産でしょ・・・)息子も少しは感動してるかなぁ?と助手席を見ると彼の視線は左手に握りしめられたス・マ・ホ・・・今時の子です。
両親は高齢のため足腰が弱いので、白川郷に入ってすぐのお茶屋を起点にその周辺をゆっくり、ゆーっくり散策です。
私と息子は和田家(重文)の中を見学、外から見るよりも中は広い!外からは一階建に見える建物は中二階の納戸に法事に使うのであろうたくさんの器が保管してあり、屋根裏(すごく広い)では養蚕工場になっていて、たくさんの箱に桑の葉がびっしり!白い蚕の幼虫がぱらぱらと「リアルに再現しているなぁ」と思ったら白いかりんとうは良く見ると動きます・・・本当に飼っていらっしゃいます、和田さん(苦手な方はあまり顔を近づけないことを勧めます)。
和田家の後は周りの田んぼや向日葵畑を散歩して集落を一望できる展望台へバスで向かいます。
かなり勾配のきついくねくねした細い道をバスで登り、いよいよ箱庭のような小さな集落を一望のはずなのですが、激しい夕立。
全く展望できずに引き返し、両親と合流・・・そのころには雨も上がり・・・なんてついてない。

雨上がりの合掌造りは周りの山から白いもやが立ち込め、雨上がりの草木の匂いが辺りに漂います。
息子はこの夏の匂いを覚えていてくれるかな?

彼は来年大学受験、家族四人での帰省は再来年まではお休みです。

2013年 さかみち 20号より
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