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引越し/菊地 優子

 一人暮らし・結婚・主人の転勤等で過去何度か経験した引越し。
今年もその引越しをする事になりました。
間取りが大きくなるにつれて増えてきた荷物を整理し、要らない物と要る物に分けて潔く断捨離できればいいのですが、現実はそうも思う様には事は進まず、どうしよう…。
と悩み続け時が経ち、なかなか進まない片付け。
いよいよ時間が差し迫ってくればどうにかするだろうと思いつつ過ごす日々。

結婚してからはずっと主人の会社の社宅を渡り歩き、すっかり古い社宅の生活にも慣れました。
やっぱり日本人は畳と押入れよね、と、よく分からない思いで社宅の古さをプラスに考えてきましたが、最近の友人のマンション&一戸建て引越しラッシュでお宅訪問をする際、あまりにも自分の住んでいる社宅の古さを痛感。

結婚してからは家に洗面所が無いので歯磨きは台所で、というのは当たり前。
洗濯機は一軒目は室内に洗濯機を置くところがどこにも無く、ベランダに蛇口があったのでそこに設置したのですが、日焼けしてボロボロに。
二軒目はベランダに水道が無く、お風呂の狭い洗い場に。
昔の二層式洗濯機とは違い奥行きがある今の洗濯機はお風呂の洗い場に置くと場所を取り、ギリギリ一人洗い場に座れる位の狭さ…。
常に湿気が蔓延している為、カビの繁殖も早くて洗濯機の中も外もボロボロに。
今の社宅はやっと脱衣所らしき所に洗濯機が置けて良かった~っと思ったのもつかの間、脱衣所に洗濯機を置くと脱衣所が脱衣所で無くなり、ただの洗濯機置き場になり脱衣は玄関の前で…という悲しい現実。
お風呂の入り口も洗濯機が半分邪魔をしているので入り辛い。
もちろん、洗濯機を室内に置けても洗濯機の排水ホースを入れる配水管は完備されていないのでお風呂の排水溝の蓋を毎回洗濯の度に開けて排水ホースを入れる作業必須。
年数回、寝ぼけていてこの作業を忘れ、排水が家中を水浸しにするという悲劇も。
一気に目が覚めます。

お風呂は湯船にお湯がたまるまで約1時間、温度調整は外気の気温によりダイヤルで微調整。
ほんの少しでも回し過ぎると冷たかったり熱かったり。
もちろんシャワーの水圧は恐ろしく弱く…。
今では家のシャワーの水圧に慣れすぎて他の場所で入ったお風呂の水圧の強さにびっくりする程です。
浴槽は今時の浅い湯船とは違い深い湯船なので背の低い私には入り辛い。
1軒前の社宅の湯船はコンクリートブロックの上に湯船が置かれていてさらに高さがプラス。
湯船に入るのにお風呂の椅子に上がってから入るというちょっとあぶない構造でした。
湯船も長方形ではなくて正方形で三角座りをして入る感じです。
お風呂の壁は東京の社宅ではペンキが塗ってありましたが、地方の社宅では床も壁面もコンクリート打ちっぱなしの感じで床はザラザラしていた気がします。

古い社宅なのでマンションとは違い壁や天井が薄い為、上の階の住人の足音が聞こえるのはもちろん毎日日課としているらしい夕方のルームランナーの音に最初は悩まされました。
最初は悩まされましたが、何度も聞いているうちに慣れてきて、今日も元気に走ってるなあと思う始末。
しかも、夜、寝室で寝る時、静かになった部屋に遠くから聞こえるのは上の階の住民のいびき…。
今日もお仕事頑張ったんだなあと思いつつ眠りにつく日々。

そんな上階の方の生活感ももれなく体験できる社宅でも気に入っているところは幾つかあります。

ベランダに洗濯物をたくさん干せて布団もベランダの手すりに掛けて干せるので便利。
外観の規制は無いので自由に干せます。
畳なのでカーペットをひかなくても快適に過ごせます。
寝転んでも痛くない!マンションの手狭な収納と違って(ウォークインクローゼットは別です)断然押入れ収納は広いっ!布団もたくさん入るし、天袋もあり、増える荷物にまだまだ対応可。
そしてなによりの利点は家賃が安い事!と、利点を挙げてみたものの、そこまでたくさん思いつかない…。
私が移り住んできた社宅が古い社宅ばかりなのでかもしれませんが…。

新しい社宅はそれなりに便利らしいです。
ただ家賃もそれなりだったりするので…。
ただ、古い社宅でも少々不便でも慣れてしまえば何て事無いんですよね。
たまに私の家に泊まり来た友人が歯磨きや手洗いをどこでしたらいいのかウロウロしているところを見かけるとちょっとニヤニヤしてしまったり。
台所の給湯器を見たことが無い若い子が家に来た時にどう使っていいのか悩んでるのを見てこれまたニヤニヤしてしまったり。

そんなレトロな生活ももうそろそろ卒業。今年やっと脱社宅です。

引越しに関する片付けや手続きは面倒なものの、新しい生活には楽しみな事の方が多く、なにより今まで無かった洗面所が出来ることが私にはなによりもうれしく…。

明日からの片付けを頑張ろうと思う今日この頃。

2013年 さかみち 20号より
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