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新しい生活/石井 友起

 昨年の九月に出産し、新しい家族が増えました。 重いつわり、切迫早産で自宅安静と入院、三十時間を越える難産のうえ、最後は微弱陣痛で陣痛促進剤と吸引分娩・・・と正直大変なことも多いマタニティライフと出産でした。
産後も体調が回復しないまま育児がスタート。本当によく泣いてあまり寝ない子で、「なんなのこの怪獣は!」と思いながら、うまくお世話できない自分が情けなくて一緒になって泣いてしまうことも多々ありました。
実は、泣き止まない娘を布団に投げたくなってしまったことも。今思うと、育児に対して理想を抱きすぎていたと思います。
「生まれてからが本当に大変になるよ」「戦いだよ」と色んな先輩ママから話を聞いていましたが、「そうは言っても自分の子は可愛いはずだし、きっとなんとかなる」と楽観的に考え、「昼下がり、赤ちゃんの穏やかな寝顔を見守る自分・・・」といった妄想を思い描いていたのです。現実に直面し、考えが甘かったことを思い知らされました。
そんな娘も私も、月齢が上がると共になんとなくのコミュニケーションがとれるようになっていき、落ち着いてきました。生後3ヶ月頃までは可愛いと思えるゆとりもなく、「私って母性がないのかも」と悶々としていましたが、今ではとても可愛い娘です。表情も動きもどんどん豊かになり、赤ちゃんの進化に驚く日々です。とはいえ、やはり赤ちゃんは赤ちゃん。ぐずぐずしたり癇癪を起こしたり、力加減なく攻撃してきたり(家庭内暴力さながらです!)、イラッとしてしまうこともそれなりにあります。ところが、保育園では猫被りしているのか「いつもニコニコで甘え上手」「いきなり乗りかかってくるようなお友達もいるのに、穏やかでほかのお友達やお人形を優しくポンポンしています」と、「誰の話?」と思わず先生に確認してしまうような様子が、日々の連絡帳に記されているのです。先生は良いことばかり書いてくれるのだろうとは思いますが、赤ちゃんなりに気を遣っているところもあるのでしょうか。内向きと外向きの顔を使い分けている様子は、今後どんな女性になるのやら恐ろしい気もしますが、とにかく健康以外は多くを望まず成長を見守っていきたいと思います。
 私個人のことを言えば、家事・育児・仕事と、どれも中途半端な気がしてジレンマを感じたりもする日々ですが、母としても社会人としても、少しでも成長していけたらと思っている次第です。

2014年 さかみち 21号より
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