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畑のすすめ/上森 直子

 この春から私は市民農園を借り、家庭菜園を楽しんでいる。
4m×4m程度の区画だが、ジャガイモに始まり、枝豆、レタス、きゅうり、トマト、オクラ、ピーマン、パブリカ、モロヘイヤ、バジル、空芯菜と、結構沢山の野菜が収穫できた。今は8月の終わり、バジルとモロヘイヤ、空芯菜が繁茂していて、今朝も水遣りついでに収穫をしてきた。おかげで、以前に比べ野菜が食卓に並ぶようになり、始めて良かったと思う。
私が市民農園を借りようと思ったわけは、庭でプランター栽培を行った時、土の後処理がとても面倒だったからだ。使用した土は再生するにも狭い芝生庭に広げて干さねばならず、捨てるにもその辺に場所がなく、廃棄専用の袋を購入してド○トに持ち込んだりしていた。畑ならその煩わしさがない。
市報で、今回3年に1度の市民農園の借主募集の年である事を見つけ、私はやる気満々で家族に相談した。主人はあまりいい顔をしなかった。理由は農園の場所が家からも駅からも2㎞くらい離れたところにあり、通うのが大変で続く訳がないというものだった。確かに言われると、水遣りができずに枯らしてしまう画が浮かんだ。息子が「きゅうり作って味噌つけていっぱい食べた~い!」と興味を示した。よし!子供の食育の事を考えてもいい経験になるし、とにかくやってみよう!と応募を決めた。
 実際、畑を始めてみると嬉しい誤算があった。畑栽培では種まき後や苗が定着するまでは別として、通常そんなに水遣りが必要なかったのである。特にジャガイモに至ってはつい水をあげたくなるが、あげなくて大丈夫、あげるとイモが腐ったりすると他の区画者から教えられ、驚いた。
今回、野菜づくりを通して、畑という器の大きさを実感した。プランター栽培と比べ、野菜はしっかりと根をはり、丈夫に育つようだ。私はこれまで植物を育ててもうまくいかない事の方が多かった。子供時代、学校でヒヤシンスの水栽培をしたが、球根に白カビが生えて育たなかった。大人になり、プランターでミニトマト等の栽培に挑戦したが、結果は害虫がついたり、実が少なかったり、食べても皮が固かったり味が薄かったり…がっかりした。私にはセンスがないのね…。そんな私が、それ程労力もかけず、こんなに普通に美味しい野菜を作ることができるなんて!畑って素晴らしい。
畑には会社帰りに夕方立寄って作業する事も多い。行くまではダルくてなんとなく気が進まないのだが、行って作業を始めるとアッという間に一時間位経ってしまう。そしてなぜか帰る時には疲れが吹き飛んでいる。植物の出すエネルギーをもらい、匂いに癒されているためではないかと思う。特にトマトの青くスーっとする匂いが私には心地いい。
良い事ばかりのようだが、害虫の駆除には苦慮している。薬剤は使いたくないので、怪しい箇所はむしって処分したり潰したりしているが、園芸用の手袋をつけてなんとか作業している感じだ。今は気持ち悪さを我慢し勇気を出してやっている感じだが、そのうち平気になることを期待しつつ、これからも畑で様々な野菜を育ててみたいと思っている。

2014年 さかみち 21号より
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