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娘のバイト/栖原 圭子

 高校一年生になった私の娘。部活は軽音楽となぜか卓球。メインは軽音楽でエレキギターを担当。一年前はクラッシックバレエを踊っていたのに、なぜ?まあ、娘の選んだ道なので、クラッシックからエレキに転向しようが、本人が青春を謳歌しているのだから、私は満足としよう。(半場言い聞かせている)

 さて、そんな娘がバイトをしたいと言い出した。だが、残念なことに娘には時間がない。二つも部活を掛け持ちしており、がんばって背伸びして入った高校なので、勉強もついていくだけで精一杯だ。とてもじゃないが、悠長にバイトなんてしていられない。でもお金は欲しい。そんな娘が不憫でならない。が、私は親なので甘やかしてはいけないと、おこずかい以外の遊ぶお金はお年玉を除き渡さない主義を通している。でも、欲しいものもあるだろう、部活帰りお腹が空いて何か食べて帰りたいだろう、なんて考えるとこれはどうにかしてあげなければと思う。でも、多額のおこずかいをあげるのは教育上宜しくない。…どうする母…。
そこで、私は娘に提案した。毎朝お弁当を作ってくれたら一個三百円で買取りましょうと。お弁当作りは私の仕事。しかし朝は起きれない日も多々あり、お弁当作りがしんどい。作れなかった日は昼食代として子供に五百円を渡している。なのでこの提案は私にとっても大いにメリットがある。娘は喜んで快諾した。さっそく翌日から娘のお弁当作りのバイトが始まった。

 娘の分と私と兄の分で一日3個、九百円だ。毎日作れば5日で四千五百円。月にすれば一万八千円。私にとっては痛い出費だが、まあ、良しとしよう。娘が喜んでいるし私も楽だし。しかし、この「娘と私のウインウインのバイト」は、私にとってはあまりウインではないことがあとで発覚した。

 それは、娘はお弁当を作るのではなく、詰めるだけだったのだ。しかも、冷凍食品のオンパレード。冷凍食品が嫌なら「これお弁当にいれてね」とおかずを用意しておかなければならない。まさに誤算。次の誤算は、私の好きなものがお弁当に入ってこないということ。何日もお弁当に梅干しが入っていなかったので、たまりかねて「母は梅干しが好きなの、だから入れて」とお願いした。あと、私は匂いが気になるからお弁当には入れない沢庵の厚切りがどーんと入っていることも。あと、のり弁が無くなった。あと、娘が好きではないのか、ごま塩もごはんの上から消えた。
そして、最大の誤算は食材を私が用意するから三百円は高かったということだ。二百円にしておけば良かった…。

 娘のバイトはいつまで続くのだろう、まだ一年生だから、あと二年は続くのかなあ。

2016年 さかみち 23号より
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