ネット・さかみち

父 子/島田 光英

 息子の誕生と同時に父親には叶えたい夢もいくつか生まれます。

・キャッチボール
・旅
・酒をのむ

 私の息子は平成八年に誕生しました。それは私が父親になった日でもあり、同性の家族を得た日でもあります。彼の誕生により「息子とキャッチボール」の夢が生まれ、七~八年後には叶います。旅はもう少し後になりますが、彼が高校生の時に叶いました。最後の「酒」は少しやっかいです。急いで叶えると法律に触れるので最低二十年は待たなければなりません。

 平成二十八年。私の息子は二十歳になりました。ひと月前から店を決め、当日は店の近くの駅で待ち合わせです。

 当日、待ち合わせの時間より少し前に私は駅に到着。息子からメールが入ります。「今電車に乗った。十五分ぐらい遅れる。」?ちょっとイラッとします。昔はメールなんてないから待ち合わせに遅れると相手が待っていてくれるか心配だったものです。(待つ方は相手によって待ってあげる時間が異なります。友達→三十分? 彼女→一時間でも…)まあ今回は楽しみにしているのは私の方なので、しかたありませんが…

 二〇分程遅れてご子息様がご到着。
店までは歩いて五分程。季節は四月。夜はまだ肌寒いのにご子息様は薄着…「寒くないの?」「多少…」「バカじゃないの!」こんなやりとりで到着。家族で何度も来たことのある焼鳥屋さんのカウンターに並んで座り、まずは「生中2つ」。息子が好きなものをいくつか注文して「誕生日おめでとう!」で乾杯。お酒を飲むときは途中で何度か水を飲んでおくと酔っ払いにくいからと水をジョッキで注文してあげると、一生懸命水を飲んでいました。メインは水なのか?(少しかわいいと思った)焼鳥をちょこちょこ食べながらビールの次は「日本酒」その後「焼鳥丼?」子供はやはりごはんの方が好きか!ごはんを食べたのになぜか酒に戻り「ハイボール」。

 初めて息子と酒を飲む時間をしみじみと味わい、ほろ酔い気分で店を出て駅に向かって歩き出すと息子が「さむっ!」←薄着だもの当たり前です。駅の近くでお利口なご子息様にパーカーを買って差し上げ電車で家へ向かいます。私の心中は「息子と酒はいいな…」から「飲み代はいいけど服代もかよっ…」に代わっていきましたとさ。

2016年 さかみち 23号より
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