前回の記事『どう書けばいい?? 36協定の「時間外・休日労働をさせる必要のある事由」(1/2)』では、36協定の「具体的事由」・「臨時的事由」の実情、何が問題なのか、本来何を書くことを求められているのかについてお話ししましたが、今回は具体的にどうしたらいのかを考えていきたいと思います。
具体的な対応
そもそも、時間外労働・休日労働をする必要はなぜ発生するのでしょうか?仕事が終わらないからではないでしょうか。「月次決算があるから」・「緊急の顧客対応が必要だから」というのは確かに「具体的事由」ですが、その事由で全ての時間外労働等が行われているわけではないでしょう。前掲したように、36協定記載事由でのみ免罰的効力は発生するため、例えば、毎日少しの時間でも残業している場合、上記の「具体的事由」では足りないのではないでしょうか。
日々の中で残業をする場合、当事者からすれば、「今日終わらせないといけない仕事があるから」ではないでしょうか?
それであれば、「具体的な事由」には、「当日内に終わらせる業務がある場合」と書くのはどうでしょう。これならば、ある程度具体性を満たしつつ、ある程度実際の事由を網羅でき、なぜその日に残業を行う必要があるのか説明できていると思います。労基署によっては、届出の際、もう少し具体的に記載してくださいと言われることはあるかもしれませんが、労使で話し合った結果として記載したと説明すれば、受付されないということは少ないでしょう。※4
※4:受付されたから、内容が問題ないということには必ずしもなりません。
まとめ
以上、36協定のごく一部分について考えてきましたが、意外と奥深いものです。実務上、労基署などにお尋ねになることは多いと思いますが、36協定については「〇〇なら大丈夫です」と明言してもらえるものはあまりないかもしれません。それは、労使でしっかり協議して協定を作るものだからです。
大切なのは、
①「具体的事由」という言葉に影響されすぎて、実情に合っていない形式的な内容を記載してしまわないようにすること
②労使でしっかり現状などについて話をしたうえで協定を締結すること
労使協定の作成に関するご相談、協定内容に関するご相談等につきましては、ぜひ当事務所の事務所相談会をご利用ください。
参考
厚生労働省「36協定届の記載例」
社会保険労務士 永井 健太郎