入社・退社の手続き、これさえ押さえておけばスムーズにできる!(入社手続き編)

入社・退社の手続きは必要書類が多く、年間を通して行われる手続きの一つです。時には従業員から健康保険証や離職票の発行を催促され、迅速な対応を求められることも多いのではないでしょうか。今回は、社会保険・雇用保険に絞り、スムーズに手続きを行うことに重点を置いた、事前準備~発行までの解説をします。

目次

1.雇用契約書(労働契約書)の作成

入社前に就業時間や業務内容など、認識の違いを防ぐために雇用内容を従業員・会社側両方で確認することで、採用後のトラブルを未然に防ぐことが出来ます。その役割を担うのが雇用契約書(労働契約書)になります。雇用契約書を従業員へ提出する際、併せて入社手続きに必要な書類を入社時までに用意するように依頼しておくと入社後、スムーズに手続きを行うことが出来ます。

2.入社手続きに必要な書類を確認する

入社後に従業員から、入社手続きに必要な書類を回収・確認をします。

この時に必要書類のチェックリストを作成しておくと、確認漏れを防ぐことが出来ます。

社会保険・雇用保険それぞれに必要な書類、基本情報は以下の通りになります。

基本情報

・氏名(フリガナ)

外国の方の場合、ローマ字表記での氏名も必要になります。

・生年月日、性別、住所、電話番号

・マイナンバー

社会保険に必要な書類

・年金手帳

・扶養家族がいる場合、扶養家族の情報(マイナンバーも)

マイナンバーを提出できない場合には、「続柄」記載のある住民票が必要になります。

雇用保険に必要な書類

・雇用保険被保険者番号

前職で渡される「雇用保険資格取得等確認通知書」または「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」

雇用保険被保険者番号は基本的に一人一つ付与され、同じ番号を使います。雇用保険被保険者番号が不明の場合、前職の会社名が必要になります。これは、雇用保険被保険者番号が不明の方はハローワークが会社名と従業員の氏名、生年月日を元に調べて雇用保険被保険者番号を引き出すためです。

また、初めて雇用保険に加入する場合は新しく登録するので事前に加入履歴がないか従業員に確認しておくと良いです。

・外国籍の方:在留カードの両面の写し、旅券(パスポート)、卒業見込みまたは卒業証明書(留学生を採用する場合のみ)

在留期間、在留資格の種類、就労制限の有無を確認しておきます。記載されている活動以外の業務を行う場合は在留資格の変更手続きや資格外活動外許可申請をする必要がありますので注意しましょう。

3.各種手続きを行う

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き

従業員の中には、通院予定がある人や家族の保険証をすぐに必要としている人がいますので、入社後にはまず社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続きを行い、速やかに本人に保険証を渡せるようにします。

社会保険は、正社員の他にパート・アルバイトも1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数がその会社の正社員の4分の3以上である場合は加入義務があります。つまり、正社員が週40時間で働いている場合、パート・アルバイトは週30時間以上働く場合が該当しますので注意しましょう。

協会けんぽへ加入する場合は、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」という書類を年金事務所に提出します。

健康保険組合へ加入する場合は「健康保険被保険者資格取得届」を健康保険組合へ、「厚生年金保険被保険者資格取得届」を年金事務所に提出します。

それぞれ、入社後5日以内に提出します。この期間が過ぎても手続きは行えますが保険証の交付が遅れてしまいますので、もし遅れる場合にはその旨を従業員に伝えた上で速やかに申請をしましょう。

素早く行うには、マイナンバーでの申請がおすすめです。マイナンバー記載をすれば基礎年金番号・従業員の住所の記載が不要になり、必要書類をカットすることが出来ます。

また、従業員に扶養家族がいる場合「健康保険被扶養者(異動)届」も申請する必要があります。この申請書も資格取得届同様、協会けんぽへ加入の場合は年金事務所へ、健康保険組合へ加入の場合は健康保険組合へ提出します。しかし、60歳未満の配偶者が被扶養者になる場合には「国民年金第3号被保険者届」の手続きを年金事務所で行います。

雇用保険の手続き

雇用保険も社会保険と同じく、加入条件があります。正社員は加入義務があり、パート・アルバイトの場合は、1週間の所定労働時間が20時間以上ある場合に加入義務があります。

管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を入社した月の翌月10日以内に提出します。

雇用保険の申請を行う際にはマイナンバーの記載が必要になりますが、従業員がマイナンバーの提出を拒否した場合、それを強制することはできないため、申請書の備考欄に「本人都合によるマイナンバー届出不可」というような理由を記入して申請をします。

社会保険も雇用保険も郵送手続きの他に電子申請もできます。電子申請を活用すれば1週間前後で申請が完了できることもあるので、是非活用しましょう。

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