朝、2歳になる子どもを保育所に送ってから事務所に出社しています。
ある朝、子どもが家で遊んでいたシールを出かける時まで持って離さなかったので、シールを持たせたまま保育所に向かいました。
保育所の教室に入る時に、延長保育の先生が「(保育所の)決まりだからそれはダメだよ」と言って、子どもからシールを取ろうとしました。子どもは大泣きです。
アプローチの仕方で結果が変わる
タイミングよく担任の先生がやって来て、「(家から持参している)バッグに入れようか?」と言って、子どもにバッグに入れるよう促しました。
子どもは泣き止んで自分でバッグにシールを入れ、その場は収まりました。
延長保育の先生と担任の先生の対応の違いはどこにあるでしょうか?
子どもへのアプローチの違いが異なる結果を招いています。
私は、「大人の常識は子どもには通用しない」ということに気付かされました。
「あるべき論」が生む受け身的態度
私たち大人は日々善悪の判断を頭でしています。「決まりだからいけない」と判断しています。
でも、子どもは何でダメなのかが分からないから納得できません。ましてや無理にモノを取られることをとても嫌がります。
訳も分からず無理やりやらされると、子どもは言うことを聞いてくれません。だから、自ら行動するように促してあげる必要があります。
延長保育の先生と担任の先生では、子どもとの信頼関係の強さも影響していることでしょう。
これらは子どもに限った話ではありません。
私たち大人はつい「言わなくても分かるだろう」とか、相手は「こう思っているだろう」と決めつけて、自分の価値観の枠組みで話をしてしまいがちです。
聞かされる方は、表面上は仕方なく受け入れているようでも本音では納得していません。「あるべき論」では人は動かないものです。そうなってしまうとその後の行動は受け身的になります。
見えない部分に本音がある
話を聴いてほしい人(先生、親、リーダーなど)が一方的に話をしていたら、この人には話を聴いてもらえないというあきらめ感のようなものが出てきます。普段の関わり方が信頼関係に影響するのではないかと思います。
うなずいていても納得はしていない。もしかしたら、話を聴けない人の周りにはイエスマンしかいないかもしれません。
人は変わりたいけれど、他人から変えられるのを嫌がるものです。
相手の言動の背景には、どのような感情が隠れているのか。
見えている部分はほんの一部にすぎません。しかも見る側は、見たいものを見ようとします。相手が何を考え、感じ、大切にしているのか。心の声に耳を傾けることが大切です。
「耳はふたつ、口はひとつ」
まずは聴くことからコミュニケーションは始まるのだと思います。
社会保険労務士 横島 洋志