「雇用保険適用事業所設置届ってなに?」
「書き方がよく分からない…」
「他に必要な書類があるって本当?」
事業主の方で、このような悩みを抱えていませんか?
雇用保険適用事業所設置届は、文字通り雇用保険に関する書類です。
従業員を初めて雇ったときに提出しますが、「書き方や添付書類がよく分からない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
そこで、この記事では以下の内容を解説します。
- 雇用保険適用事業所設置届とは
- 書き方
- 添付書類と提出先
- 再発行方法
雇用保険適用事業所設置届(事業主控え)の再発行方法も紹介しているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
【雇用保険適用事業所設置届とは】初めて従業員を雇ったときに提出する書類
雇用保険適用事業所設置届とは、初めて雇用保険の被保険者となる従業員を雇ったときに提出する書類です。
以下の要件に該当する従業員は、原則として雇用保険の被保険者となります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
被保険者の従業員を1人でも雇った場合、事業所は雇用保険が適用されます。
その際に雇用保険に関する手続きが必要ですが、その手続きのひとつが適用事業所設置届ということになります。
ただし、先に「労働保険の保険関係成立届」を提出しておかなければ、適用事業所設置届は受理されません。
【記入例あり】雇用保険適用事業所設置届の書き方
次に、雇用保険適用事業所設置届の書き方を紹介します。
表面だけでなく裏面も記入する必要があるので、忘れずに記入しましょう。
用紙はハローワークのサイトで印刷できます。
- ①法人番号
-
法人設立登記後に割り当てられた13桁の法人番号を記入します。
番号は国税庁から送付された「法人番号指定通知書」で確認してください。
個人事業の場合は、記入不要です。
- ②、③、④、⑤、⑥
-
事業所の名称、住所、電話番号を記入
- ⑦設置年月日
-
雇用保険の被保険者となる従業員を初めて雇った日を記入します。
- ⑧労働保険番号
-
労働保険関係成立届の提出後に割り当てられた14桁の番号を記入します。
保険関係成立届の控えや、厚生労働省から送付された「労災保険加入証明書」で確認できます。
もしくは、加入している労災保険加入団体に問い合わせて確認してください。
(⑨~⑫はハローワークが記入するので省略)
- ⑬事業主(住所、名称、氏名)
-
事業主の住所、名称、氏名を記入します。
- ⑭事業の概要
-
事業内容を具体的に記入します。
例.「高校制服の販売」「木材・木製品製造業」「スマホアプリの開発」 - ⑮事業の開始年月日
-
事業の開始年月日を記入します。
(⑯は事業の廃止年月日なので記入不要)
- ⑰常時使用労働者数
-
1日の平均従業員数を記入します。(見込みでOKです)
「延使用労働者数÷所定労働日数」で算出してください。
- ⑱雇用保険被保険者数
-
雇用保険に適用する従業員数を記入します。
「一般」欄に記入するのは、以下の被保険者数の合計数です。
- 一般被保険者
- 高年齢被保険者
- 短期雇用特例被保険者
「日雇」欄には、日雇労働被保険者数を記入します。
スクロールできます一般被保険者 下記以外の被保険者 高年齢被保険者 65歳以上の被保険者 短期雇用特例被保険者 季節的、または短期に雇用される被保険者 日雇労働被保険者数 30日以内の期間で雇用される被保険者 - ⑲賃金支払関係
-
賃金締切日と賃金支払日を記入します。
- ⑳雇用保険担当課名
-
雇用保険の担当窓口となる部署名を記入します。
もし担当課がなければ「総務」と記入してください。
- ㉑社会保険加入状況
-
加入している社会保険を丸で囲みます。
- ㉒登録印
-
事業所印影欄には角印を押印します。個人事業で事業所印がなければ、押印しなくても大丈夫です。
事業主(代理人)印影欄には、代表者の実印を押印します。
その他の欄は押印する必要はありません。
- ㉓最寄り駅又はバス停から事業所への略図
-
最寄り駅(バス停)から事業所への略図を記入します。
これで、雇用保険適用事業所設置届の記入は完了です。
適用事業所設置届は公的な書類になるので、株式会社や住所を略してはいけません。
記入漏れがないか、よく確認してから提出してください。
【準備を忘れずに】雇用保険適用事業所設置届の添付書類・提出先
雇用保険適用事業所設置届の提出には、いくつかの添付書類が必要です。
提出の際には、次の添付書類も用意してください。
- 雇用保険被保険者資格取得届
- 労働保険関係成立届の事業主控え(労働基準監督署受理済のもの)
- 労働者の雇用実態、賃金の支払状況等を証明できる以下の書類
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 出勤簿又はタイムカード(雇い入れから現在まで)
- 雇用契約書(有期契約労働者の場合)
- 事業所の実在、事業の種類、事業開始年月日、事業経営の状況、他の社会保険の加入状況を証明できる以下の書類
(法人と個人事業で少し異なります)
- 法人の場合
-
- 登記事項証明書
- 事業許可証
- 工事契約書
- 不動産契約書
- 源泉徴収簿
- 他の社会保険の適用関係書類
※事業所の所在地が登記されたものと異なる場合は、事業所の所在地が明記されている書類も必要になります。(公共料金の請求書、賃貸借契約書等)
- 個人事業の場合
-
- 事業許可証
- 工事契約書
- 不動産契約書
- 源泉徴収簿
- 他の社会保険の適用関係書類
提出先 | 所轄のハローワーク |
提出期限 | 雇用保険の被保険者になる従業員を雇った日の翌日から10日以内 |
提出方法 | 窓口持参、郵送、電子申請 |
手続きの流れや必要書類はハローワークによって異なるので、事前に確認しておくと手続きがスムーズになります。
【もし紛失したら】雇用保険適用事業所設置届の事業主控えを再発行する方法
雇用保険適用事業所設置届を提出すると、後日「雇用保険適用事業所設置届事業主控(適用事業所台帳)」が送られてきます。
雇用保険の手続きに事業主控えが必要になるケースもあるので、もし紛失したらすぐに再発行しましょう。
再発行の申請をする際には、ハローワークで交付されている「雇用保険関係各種届書等再作成・再交付申請書」が必要です。
再交付申請書には、以下の項目を記入してください。
- 事業所番号
- 事業所名
- 再作成届書等
(適用事業所設置届に丸をつける) - 申請理由
- 申請日
- 事業主の所在地
- 名称
- 代表者名
- 電話番号
- 事業主印
- 申請理由
再交付申請書を記入できたら、ハローワークに提出してください。
即日に事業主控えが再発行されます。
適用事業所設置届事業主控えだけでなく、再交付申請書は次の書類の再交付にも利用できます。
- 雇用保険取得等確認通知書
- 資格喪失届
- 資格喪失確認通知書
- 離職票-1
- 離職票-2
- 六十歳到達時等賃金日額登録通知書
- 事業所廃止届事業主控
- 事業所非該当承認通知書
- 事業主事業所各種変更届事業主控
- 高年齢雇用継続給付支給申請書
- 育児休業給付金支給申請書
もし上記の書類を再発行したいときは、同じように再交付申請書を利用してください。
【そもそも雇用保険とは】失業した人の生活を安定させるための制度
そもそも雇用保険とはどういった制度なのでしょうか?
雇用保険とは、失業した労働者の生活を安定させ、再就職を支援するための制度です。
冒頭でも説明したように、従業員が次の要件を満たした場合、事業主は雇用保険の加入手続きを行なう必要があります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
では、雇用保険に加入することで、従業員はどのような手当が支給されるのでしょうか。
雇用保険で支払われる手当の一部を紹介します。
- ①高年齢雇用継続給付
-
60歳以降も働き続け、賃金が60歳時点の賃金に比べて75%未満となった人に支給される。
- ②育児休業給付金
-
被保険者が育児休業中に、一定以上の賃金が支払われなくなったときに支給される。
- ③介護休業給付
-
家族の介護のために休業する人に支給される。
- ④基本手当
-
働く意思と能力を持ち、就職活動を行なっているにも関わらず就職できない人に支給される。
- ⑤再就職手当
-
基本手当の受給資格がある人が、安定した職業に就いたときに支給される。
- ⑥教育訓練給付金
-
厚生労働大臣の指定する講座を修了した人に支給される。
上記の手当を大きく分けると、①~③は「雇用継続給付」に、④~⑥は「失業等給付」にカテゴリー分けされます。
支給にはそれぞれ条件がありますが、雇用保険に加入することで労働者は様々な給付を受けられます。
雇用保険は、従業員の生活安定のために欠かせない制度です。
事業主は忘れずに、雇用保険の手続きを行なってください。
なお、雇用保険の加入義務を怠った場合、懲役6ヶ月以下もしくは30万円の罰金が科せられます。
まとめ:雇用保険適用事業所設置届は欠かせない手続き
今回は雇用保険適用事業所設置届について解説しました。
適用事業所設置届は、初めて従業員を雇い入れるときに必要な書類です。
雇用保険の手続きのひとつですが、他にも様々な手続きがあります。
いずれも書類の記入や添付書類の準備が求められますが、そういった手続き業務に負担を感じている事業主の方もいるかと思われます。
そこで、少しでも負担を減らすために、この記事の掲載元である飯田橋事務所に業務代行を依頼してみてはいかがでしょうか?
煩わしい手続き業務をすべて飯田橋事務所の専門職員に一任できるので、事業主や人事担当者は他の業務に専念できます。
いつでもご相談やご依頼を承っているので、どうぞお気軽にお問い合わせください。