「従業員の満足度を上げるために、週休3日制の導入を考えている」
「制度が義務化される場合、準備に間に合うようにその日程について知りたい」
「週休3日制のメリット・デメリットを詳しく教えてほしい」
人事労務担当者の方で、このような悩みを抱えていませんか?
若い従業員の間では、仕事と私生活の両方を充実できる働き方に強く関心が持たれています。
従業員の満足度を上げるため、離職率を下げるために、週休3日制の導入を考えている担当者の方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、週休3日制について次の内容を解説します。
- 週休3日制とは
- 義務化について
- 導入している企業と導入率
- メリット・デメリット
- 導入する際の流れ
ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
週休3日制とは?3つのパターンと一緒に解説
週休3日制とは、週に3日の休日を設ける勤務形態のことです。
この制度の目的は、従業員の生活の質向上や、生産性の向上、ワークライフバランスの実現など多岐に渡ります。
また、週休3日制には3つの主要パターンがあります。
パターン①:給与維持型
週休3日制の「給与維持型」では、従業員は週に3日休みますが、給与は週休2日制の場合と同じ額が支払われます。
従業員にとっては、より長い休暇時間と同じ給与を享受できるため、ワークライフバランスが改善されます。
パターン②:総労働時間維持型
「総労働時間維持型」は、労働日数が減る一方で、週の総労働時間は変わりません。
従業員が1日に働く時間が増えるため、1週間の労働時間は同じまま保たれます。
製造業界で「総労働時間維持型」を導入すると、機械や設備の稼働時間を最大限に活用することが可能になります。
パターン③:給与減額型
「給与減額型」は、労働時間が減る一方で給与も相応に減額するパターンです。
小売業やサービス業など、労働力の需要が週によって大きく変動する業種では、この「給与減額型」が採用されることがあります。
週休3日制の義務化は未定
2023年7月現在で、週休3日制は義務化されていません。
また、今後週休3日制が義務化される予定もありませんが、厚生労働省は正社員が多様な働き方ができるように、週休3日制の導入を推奨しています。
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週休3日制を導入している企業と導入率
厚生労働省の「就労条件総合調査」によると「完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度」を導入している企業は、以下の通りでした。
週休3日制の導入企業はまだ少なく、導入率も低いですが、そのメリットから導入を検討する企業は年々増えてきています。
年度 | 導入率 |
---|---|
平成31年 | 7.7% |
令和2年 | 8.3% |
令和3年 | 8.5% |
令和4年 | 8.6% |
実際に週休3日制を導入している企業は、次の企業が挙げられます。
- みずほフィナンシャルグループ
- 佐川急便
- 日本マイクロソフト
- Zホールディングス
- ユニクロ日本
- IBM日本
- 日本KFCホールディングス
週休3日制を導入する7つのメリット
週休3日制を導入する場合、企業にも従業員にもメリットが得られます。
企業側のメリット①:離職率が低下する
週休3日制の導入は企業にとって、離職率を低下させる可能性があります。
働き方の柔軟性が向上することで、従業員の満足度が高まり、結果的に離職率が下がると考えられるからです。
企業側のメリット②:求職者が増加する
柔軟な働き方が可能な企業は、求職者にとって魅力的な選択肢となります。
これにより、より資質の高い労働者を引き寄せる機会を増やすことが可能です。
企業側のメリット③:生産性が向上する
休息が充分にとれたり、仕事と生活の調和が整うことで、従業員のストレスが減少し、業務の効率やクオリティが向上する可能性があります。
企業側のメリット④:経費を削減できる
週休3日制を導入することで、オフィスの電気代や水道代、従業員の通勤手当、およびその他の関連経費を節約することができます。
特にリモートワークが不可能な業界では、オフィススペース自体の縮小につながり、さらなる経費削減が見込めます。
従業員側のメリット①:ストレスを軽減できる
ストレスは長時間労働や休息不足から生じることが多く、これにより健康に悪影響を及ぼすことが知られています。
そのため、週休3日制により休息時間が増え、ストレスが軽減される可能性が高くなります。
従業員側のメリット②:子育てや介護の両立ができる
子育てや介護と仕事の両立は、従業員にとって大きな課題です。
週休3日制を導入することで、仕事と家庭生活を両立させ、よりバランスの取れた生活を送ることができます。
従業員側のメリット③:自己研鑽や副業ができる
週休3日制は、従業員がスキルアップや新しい知識の取得、副業による収入増加の機会を増やすことができます。
週休3日制を導入する6つのデメリット
一方、週休3日制にはデメリットも存在します。
企業側のデメリット①:勤怠管理や給与体系が複雑になる
週休3日制の導入は、企業の人事管理に新たな負担を生じさせる可能性があります。
一部の従業員だけに週休3日制を適用した場合や、全従業員が週休3日制に移行した場合でも、給与の計算方法や勤怠管理のルールを見直す必要があるからです。
企業側のデメリット②:人員確保が必要になる
企業が週休3日制を導入すると、労働者が週に働く日数が減るため、必要な労働力を確保するためには更なる人員の確保が必要になる場合があります。
企業側のデメリット③:ビジネス機会が損失する
企業が週休3日制を導入すると、常時対応可能な従業員の人数が減少し、顧客からの緊急の要望に対応できない可能性があります。
従業員側のデメリット①:収入が減る
週休3日制のパターンによっては、労働時間が減って収入が減少する可能性があります。
特に、出勤時間や出勤日数によって給与が決まる場合、収入が減少する可能性が高いです。
従業員側のデメリット②:業務負担が増える
労働時間が減る一方で、必要な業務量が変わらない場合や、生産性の向上に繋がらない場合は、1日あたりの業務負担が増える可能性があります。
従業員側のデメリット③:正社員・非正規の格差が広がる
週休3日制は正社員に対してのみ適用され、非正規社員には適用されない場合があります。
これは、正社員と非正規社員の間で働き方や待遇の格差を広げる可能性があります。
週休3日制を導入する際の手続きを5ステップで紹介
週休3日制を導入する場合は、おおまかに次の流れで行われます。
- 制度導入の目的を明確にして共有する
- 対象従業員・パターンを決める
- 副業・兼業の可否を決める
- 有給休暇を確認する
- 就業規則を変更する
詳しく解説していきます。
最初のステップは、週休3日制導入の目的を明確にすることです。
従業員の希望や働き方の実態を把握した上で行うことが大切です。
制度導入の目的を明確にすることで、その実施によりどのような効果を期待するのか、また、どのような課題を解決しようとしているのかを理解できます。
そして、目的を社内で共有することにより、従業員から経営陣までが一致団結し、制度導入を成功させるために進むことが可能となります。
すべての従業員を対象とするのか、従業員を限定する場合は、どの従業員が制度の対象となるべきかを、慎重に決定することが重要です。
特に、従業員の職種、役職、業務内容、生活状況などを考慮に入れることが求められます。
また、冒頭でも触れたように週休3日制には3つのパターンがあります。
- 給与維持型
- 総労働時間維持型
- 給与減額型
どのパターンにするかも、このステップで決定しましょう。
週休3日制を導入することで、従業員が余裕を持って副業・兼業を行う時間が生まれます。
これにより、収入の補完やスキルアップの機会を提供できますが、一方で業務に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、副業・兼業の可否を明確に定めることが必要です。
副業・兼業を解禁するメリットとデメリットについては、こちらの記事で解説しています。
週休3日制の導入により、従業員の労働日数が変動します。
これに伴い、有給休暇の付与日数の見直しが必要な場合があります。
週休3日制の導入は、従業員の勤務形態や労働条件に大きな変化をもたらします。
これらの変更を正式に反映するためには、就業規則の改訂が必要です。
制度の詳細や適用範囲、副業・兼業の可否など、新たなルールを就業規則に反映させましょう。
また、常時10人以上の従業員を使用している事業場は、変更後に管轄の労働基準監督署に届け出ることを忘れないでください。
届出について詳しくは、こちらの記事で解説しています。
まとめ|週休3日制の義務化はまだだけど検討する価値あり
それでは最後に、本記事のおさらいをしましょう。
- 週休3日制は週に3日の休日を設ける勤務形態
- 「給与維持型」「総労働時間維持型」「給与減額型」の3パターンがある
- 義務化される動きはないが、導入する企業は年々増加している
- 労使双方にメリット・デメリットがある
- 制度を導入する場合は、まず導入する目的を明確にすること
週休3日制にはデメリットもありますが、従業員のストレスが減ったり、生産性が向上したりと、いくつものメリットがあります。
この制度が義務化される動きはありませんが、制度の導入を検討して、従業員の満足度をアップさせましょう。
また「他にも、従業員の満足度を上げるための具体的なアイデアがほしい」という場合は、飯田橋事務所にご相談ください。
当事務所の社労士が労務管理の現状を把握し、問題点を明確にして、必要な改善策をご提案させていただきます。
もちろん、週休3日制についてのご相談も承っています。
いつでもお気軽にお問い合わせください。