「初めて面接官をやることになったけど、どうすればいいのか分からない」
「失敗せずに面接をやり遂げたい」
「事前に準備するものや、注意することを教えてほしい」
人事労務担当者の方で、このような悩みを抱えていませんか?
良質な人材を見極めるために、多くの会社で採用面接が行われています。
しかし、いざ自分が採用面接官に指名されても、どうすればいいのか分からず、戸惑っている方もいると思います。
そこで今回は、初めての採用面接官に向けて次の内容を解説します。
- 面接官の役割
- 面接前に準備すること
- 面接の流れ
- 面接で注目するポイント
- 面接官のNG行動
無事面接を成功させて、自社に見合う人材を採用したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
人材の見極めだけじゃない!面接官の2つの役割
面接官には2つの役割があります。
- 応募者が自社に見合う人材か見極める
- 応募者に自社の魅力を伝える
それぞれの役割を解説していきます。
役割①:応募者が自社に見合う人材か見極める
面接は採用の決定的なステップです。
この時点で応募者のスキル、経験、価値観が企業の文化や求める役割に合致するかを評価する必要があります。
例えば、企業がプロジェクト管理スキルを必要とする場合、応募者が以前に何らかのプロジェクトを成功させた経験があるかを問い、その結果を評価します。
このようにして、面接官は企業と応募者の間でマッチングを行う重要な役割を果たすのです。
役割②:応募者に自社の魅力を伝える
今日の競争の激しい人材市場において、良質な人材を引きつけるためには、企業の強みや文化を伝えることが重要です。
例えば、企業が実現したい具体的なビジョン、多様な勤務体制、提供する研修プログラムなどを強調し、応募者に魅力を伝えられます。
つまり、面接官は企業の魅力を伝えるブランドアンバサダーなのです。
忘れずに用意しよう!面接前に準備する7つのこと
面接官は、面接を実施する前に次のことを準備しましょう。
- 採用したい人物像を設定する
- 採用基準を決める
- 履歴書などを読み込む
- 質問リストを作成する
- 自社の魅力が伝わるエピソードを用意する
- 面接評価シートを準備する
- 身だしなみを整える
ひとつずつ解説していきます。
①採用したい人物像を設定する
企業が求めるスキルや能力、価値観を持つ人材を採用するためには、その人物像を明確にすることが大切です。
例えば、リーダーシップ能力と高いコミュニケーション能力を求めるポジションの場合、それらの特性を持つ人物像を設定します。
これにより、面接官は対象となる応募者を的確に評価し、適切な選考を進められるでしょう。
②採用基準を決める
採用した人物像が決まった後は、採用基準を決定します。
応募者一人ひとりの能力や経験を公正に比較するためです。
スキルセット、業務経験、学歴など、求めるポジションに応じて採用基準を設定します。
③履歴書を読み込む
応募者の履歴書や職務経歴書を、事前に読み込むことも必要な準備です。
応募者の経歴やスキルを理解することで、より具体的で効果的な質問が可能になります。
経験したプロジェクト、達成した成果、取得した資格などを確認し、適格な質問を用意しましょう。
④質問リストを作成する
質問リストを用意することで、面接の流れをスムーズにし、必要な情報を把握することができます。
企業の求める特性やスキルを引き出す質問をリスト化しましょう。
⑤自社の魅力が伝わるエピソードを用意する
エピソードを通じて自社の文化や歴史を伝えることで、応募者に会社の魅力を理解してもらい、優秀な応募者の関心と興味を引き出すことができます。
新製品開発の成功ストーリーや、社員が成長した具体的な事例などが、魅力が伝わるエピソードとして挙げられます。
面接は、会社が一方的に選ぶものではありません。
お互いに評価し合う関係であることを忘れないようにしましょう。
⑥面接評価シートを準備する
面接評価シートは、応募者の評価を一貫して行い、質の高い採用決定を下すための重要なツールです。
技術的なスキル、コミュニケーション能力、組織適合性など、評価する項目を具体的に列挙します。
ただし、項目が多いと下ばかり見ることになり、応募者から見て印象が悪くなってしまいます。
評価項目の数は必要最低限にしましょう。
⑦身だしなみを整える
面接官の身だしなみが悪いと、それがそのまま会社のイメージとして植え付けられてしまいます。
髪型や服装、靴など、清潔感がある身だしなみに整え、「会社の代表」としての振る舞いを忘れないようにしましょう。
段取りを掴んでおこう!面接の流れを7ステップで解説
会社の面接は、おおまかに次の流れで行われます。
- アイスブレイク
- 面接官の紹介
- 会社の説明
- 応募者の自己紹介
- 面接官からの質問
- 応募者からの質問
- 事務連絡
詳しく解説していきます。
アイスブレイクとは、応募者の緊張をほぐすための雑談です。
応募者をリラックスさせ、オープンなコミュニケーションを促進するために、アイスブレイクは効果的とされています。
次に、面接官自身の紹介を行います。
面接官が自己紹介することで、応募者に安心感を与え、信頼関係を築くことができます。
自分の名前、役職、業務内容などを伝えましょう。
その後、会社の説明を行います、
会社について説明することで、応募者が自身が応募した会社をより深く理解することができます。
会社の事業内容、ビジョン、価値観、職場の雰囲気、成長の機会などを説明しましょう。
次に、応募者に自己紹介を求めます。
自己紹介を求める際には、「あなたの経歴について教えてください」や「この職に応募した理由を教えてください」など気になる点や、知りたい点を追加して求めましょう。
そして、履歴書や職務経歴書に書かれている内容に違いがないか、しっかりと確認してください。
さらに深掘りしたい点について、面接官から応募者に対する質問を始めます。
具体的な質問を通じて、応募者のスキル、経験、適性を評価しましょう。
応募者の人物像を引き出すために、様々な質問をし、仕事に対する姿勢や価値観、人柄などを見極めていくことが大切です。
面接官からの質問が終わったら、応募者から会社側に質問がないかを確認します。
応募者が抱えている不安や疑問を解消せずに終了してしまうと、採用しても辞退される可能性があります。
必ず最後に、「弊社に対してなにか質問はありませんか?」と聞いて、不安や疑問を持ち帰らせないようにしましょう。
面接の最後に、事務連絡を行います。
今後の予定、面接結果の通知方法、連絡日時、連絡先などを伝えて終了です。
人材を見極めるために面接で注目する3つのポイント
良質な人材を見極めるために、面接では次のポイントに注目しましょう。
- 社会人としての常識が備わっているか
- 面接官の目を見て話しているか
- 他の応募者の話を聞くときの態度はどうか
それぞれのポイントを解説していきます。
ポイント①:社会人としての常識が備わっているか
まず応募者が、社会人としての基本的な常識を理解しているか観察することが重要です。
具体的には、次の行動を観察しましょう。
- 面接に遅刻しないか
- 遅刻する場合は連絡したか
- 入退室のマナーを守れているか
- きちんと挨拶ができているか
- 身だしなみが整っているか
- 正しい言葉遣いができているか
社会人としての常識が備わっていない場合、その応募者は職場で適応できない可能性が高いです。
ポイント②:面接官の目を見て話しているか
目を見て話すことは、応募者が自信を持っており、他人とコミュニケーションを取る能力があることを示しています。
応募者が質問に答える際、または自己紹介をする際の目の動きを確認しましょう。
ポイント③:他の応募者の話を聞くときの態度はどうか
他の応募者が話しているときの態度も、一人の応募者を評価する重要な指標です。
これは、その応募者が他人の意見を尊重し、チームとして働く能力があるかどうかを示しています。
グループ面接の場合、各応募者が他の応募者が話しているときに、どのように反応するかを観察しましょう。
やってはいけない面接官の2つのNG行動
応募者に不快な思いをさせないために、そして会社のイメージを損なわないために、面接官は次の行動を避けるようにしましょう。
- 適性や能力とは関係のない質問をする
- 入社意欲を削ぐような態度を取る
ひとつずつ解説していきます。
NG行動①:適性や能力とは関係のない質問をする
面接官は、応募者の適性と能力のみで選考しなければいけません。
そのため、適性と能力に無関係の質問をすることはタブーであり、質問によっては職業差別で法律違反となる可能性もあります。(職業安定法第5条の4)
具体的な例として、以下のような質問は控えるべきです。
- 本籍についての質問
- 住居とその環境についての質問
- 家族構成やその家族についての質問
- 資産についての質問
- 思想、信条、宗教、人生観についての質問
- 支持政党についての質問
- 尊敬する人物についての質問
- 社会運動についての質問
- 購読新聞、雑誌、愛読書についての質問
- 結婚や出産についての質問
これらの質問は、応募者の能力や適性に関係ない情報を尋ねるものであり、差別につながる可能性があります。
必ず避けるようにしましょう。
NG行動②:入社意欲を削ぐような態度を取る
面接官の態度が否定的であったり、不親切、高圧的であったりすると、応募者の入社意欲が低下し、質の高い応募者を見逃す可能性があります。
具体的には、次のような態度です。
- 挨拶をしない
- 応募者の意見を否定する
- 応募者の話を最後まで聞かない
- イライラした態度を示す
- 応募者の質問に答えない
- 目を合わせずに手元の資料ばかり見る
- 腕組み・足組みをする
- 携帯電話を見る
面接官としては、応募者に対して尊重と敬意を持つ態度を示し、彼らが自社に対する興味や意欲を保つように努めましょう。
まとめ|面接官のやり方を把握して準備万端で臨もう
それでは最後に、本記事のおさらいをしましょう。
- 面接官の役割は「自社に見合う人材か見極めること」「自社の魅力を伝えること」
- 面接前は、採用したい人物像を明確にする
- 面接は最初にアイスブレイクを行う
- 応募者が社会人としての常識が備わっているか注目する
- 適性や能力とは関係のない質問をすることはNG
初めての面接官で戸惑うことも多いと思いますが、面接は良い人材を見つけ、会社に貢献してもらうための重要なステップです。
この記事で面接官のやり方を把握して、面接官としての役割を果たしましょう。
面接についてご不明な点がありましたら、ぜひ一度人事労務のプロである社会保険労務士にご相談ください。
飯田橋事務所でも、面接についてのご相談を承っています。