「新人研修ではどんな内容を組み込めばいい?」
「どんな風に新人研修を進めればいい?」
人事労務担当者の方で、このような悩みを抱えていませんか?
新人研修を行うことになったけど、どのように研修を行えばいいのか分からず、悩んでいる方は多いと思います。
そこで本記事では、新人研修の目的、内容、手法などについて詳しく解説していきます。
新人研修とは
新人研修は、新卒や中途採用された社員を対象に行う研修です。
ビジネスマナーや専門スキルの習得から企業文化への適応まで、新入社員が仕事をする上で必要なすべてを学ぶ機会を提供します。
新人研修を行う目的
新人研修を行う目的は、新卒採用と中途採用によって異なります。
新卒採用の場合
新卒社員の場合、社会人としての基本的なビジネスマナーや論理的思考などを身に付けさせることが目的です。
新卒社員は学校を卒業したばかりで、社会人としての経験はほとんどありません。
そのため、職場での適切な振る舞い方や業務処理の方法を学んでもらう必要があります。
これにより、新卒社員はスムーズに職場に適応し、会社で活躍することができます。
中途採用の場合
中途採用の場合、「早期戦力化」が研修の主な目的です。
中途採用社員は通常、ある程度のビジネス経験やマナーを持っています。
しかし、新しい企業の具体的な業務や社内の役割、社風などは当然把握していません。
そのため、新人研修を通じてこれらを学ぶことで、新しい職場環境に適応し、早くから業務に貢献できるようになります。
新人研修で教える6つの内容
新人研修では、主に次の内容を学んでもらう必要があります。
- マインドセット(社会人としての心構え)
- ビジネスマナー
- 自社への理解
- ロジカルシンキング
- PCスキル
- 配属先で必要な専門知識・スキル
具体的な内容を解説していきます。
マインドセット(社会人としての心構え)
新人研修では、まず社会人としてのマインドセットを習得してもらいます。
新卒採用された新入社員は、自由度の高い学生生活から、計画的な時間管理や多くの人々とのコミュニケーションなど、様々な要求が求められます。
これらの変化に対応するためには、社会人としての基本的なマインドセットを理解し、身に付けることが必要です。
そこで、新人研修にマインドセットの教育を組み込むことで、新入社員は責任を持ちながら、業務に取り組むことができます。
ビジネスマナー
新人研修では、ビジネスマナーも教えましょう。
ビジネスマナーを身に付けることで、新入社員は社会人としての自覚を持ち、仕事をスムーズに進めることができます。
具体的なマナーは以下の通りです。
- 身だしなみ
- 言葉遣い
- 電話対応
- 名刺交換の方法
- メールの書き方
- 報告・連絡・相談(報連相)
特に新卒社員は、これらのマナーに不慣れであることが多いため、研修を通じてビジネスマナーの基本を習得してもらうことが大切です。
また、近年ではオンラインでのコミュニケーションが増えているため、その方法についても教育することが推奨されます。
自社への理解
新人研修の目的の一つは、新入社員に企業理念を理解させることです。
企業理念や事業内容を理解することで、新入社員は自分の仕事の意義を理解し、モチベーションを高めることができます。
また、社内ルールや規範について学ぶことで、上司や先輩社員との円滑なコミュニケーションが可能となり、職場内での不安が軽減できるでしょう。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングは、新入社員がビジネス環境で成功するために不可欠なスキルです。
ビジネスでは、単に結論を出すだけでなく、その背後にある根拠や因果関係を理解し、説明する能力が求められます。
ロジカルシンキングを身に付けることで、問題の本質を掘り下げ、論理的に整理し、相手に矛盾なく説明することが可能になります。
この能力は、報告、連絡、相談の際や顧客対応時など、多くの場面で役立つでしょう。
PCスキル
現代のオフィス環境では、ほとんどの業務がPCを使って行われるため、最低限のPCスキルが必要です。
ExcelやWordは報告書の作成、データ管理など日常業務で頻繁に使用されるため、基本操作を理解していなければ、業務の効率が大幅に低下します。
また、Googleスプレッドシートなどのクラウドベースのアプリケーションも普及しているため、これらのツールの使い方も身に付けてもらいましょう。
配属先で必要な専門知識・スキル
新入社員が配属される部門ごとに、求められる専門知識やスキルは異なります。
たとえば、経理部門では会計知識、営業部門では顧客関係構築のスキルが必要です。
これらの専門知識やスキルを新人研修で身に付けさせることで、新入社員は業務に迅速に取り組むことができ、早期の戦力化が期待できます。
新人研修の効果的な4つの教育手法
新人研修では、次の教育手法がよく用いられています。
- OFF-JT
- OJT
- グループワーク
- ロールプレイ
自社の新人研修に役立つ手法を、研修プログラムの計画に取り入れましょう。
それぞれ解説していきます。
OFF-JT(座学)
OFF-JT(Off the Job Training)は、新入社員が業務の現場から離れて、仕事に必要なスキルや知識を学ぶ研修手法です。
研修専用のプログラムや外部講師によるセミナーなど、現場から離れた環境で行われるため、新入社員は集中して学ぶことができます。
また、OFF-JTは新入社員が全員参加するため、一貫した教育を受けることができ、各々の習得レベルに差が出ることが少なくなります。
OJT(実技)
OJT(On the Job Training)は、新入社員に対し、実際の業務を通じて必要な知識や技能を習得してもらう研修手法です。
上司や先輩社員から、直接指導を受けながら取り組むことで、業務の流れや使用するツール、商品やサービスに関する具体的な知識を習得できます。
ただし、OJTの成果は、教育担当者となる上司や先輩社員に大きく依存するため、教育担当者の選定には注意が必要です。
グループワーク
グループワークは、新入社員が小グループに分かれて課題に取り組む研修形式です。
主に「作業型」と「プレゼン型」の2種類があります。
作業型では協力して課題を解決し、プレゼン型では成果をグループで発表します。
この過程で、新入社員はチームで働くことの重要性を理解し、実務において必要なコミュニケーション能力や課題解決能力を養うことができるでしょう。
ロールプレイ
ロールプレイは、新入社員が営業訪問や顧客対応など、実際にビジネスで遭遇する可能性のあるシチュエーションを演じる研修手法です。
ビジネスシーンを疑似体験することで、ビジネスマナーやコミュニケーション能力などを実践的に習得できます。
また、ロールプレイは個々の新入社員に焦点を当てるため、それぞれの課題を特定しやすくなります。
新人研修の設計ステップ
新人研修の計画を立てる際は、次のステップに沿って作成しましょう。
①新入社員のスキルを確認する
まずは、新入社員の持っているスキルを正確に把握しましょう。
スキルを把握することで、それぞれに合った研修内容を計画し、彼らの能力を最大限に引き出せます。
新入社員のスキルは、履歴書の資格や特技の欄、選考時の性格診断の結果などから把握できます。
②現場で求められている能力をヒアリングする
続いて、新入社員の配属先や関係者から、現場で必要とされる能力をヒアリングします。
研修計画に現場の声を反映させることで、新人研修が実際の業務に密接に結びついたものになり、新入社員が早期に業務に貢献できるようになります。
③研修の目標を決める
新入社員のスキルと現場の声を確認した後は、新人研修の最終目標を設定します。
目標が明確でない研修では、その成果を評価することが難しくなります。
また、新入社員も何を目指して学ぶべきかが不明確になり、モチベーションの低下にもつながりかねません。
そのため、新入社員に身に付けてもらいたい能力に基づいて、具体的な最終目標を決めることが重要です。
④研修内容と手法を決める
最終目標が設定されたら、次は具体的な研修内容と教育手法を決定します。
研修内容と教育手法は、新入社員に求めるスキルによって異なります。
たとえば、ビジネス上のコミュニケーション能力を身に付けさせたい場合は、単に講義形式で教えるだけでは不十分です。
実践的なトレーニングが必要で、ロールプレイやグループワークなどを取り入れることで、実際の業務に近い状況で学ぶことができます。
このように、新入社員に必要なスキルに基づいて、適切な研修内容と教育手法を選択することが大切です。
⑤研修期間を決める
最後に、全体の研修期間を決定します。
研修期間は、研修内容や教育手法によって異なります。
たとえば、ビジネスマナーや基本的なマインドセットを身に付ける研修では1〜3ヶ月、OJT(職場内訓練)では半年〜1年が一般的です。
研修内容と企業の年間スケジュールを考慮し、最適な研修期間を決定しましょう。
次の記事では、研修期間を決める際の注意点や、短期間で効率的に行う方法についてもご紹介しているので、ぜひご覧ください。
新人研修できついと感じる理由と予防策
新人研修に参加した社員の中には、以下の理由で「きつい」と感じる人がいます。
- 覚えることが多い
- 今までと違う環境に慣れない
- ひとりになれる時間が少ない
- 研修担当者が厳しい
- 研修担当者と上手くコミュニケーションが取れない
- 常に監視されていると感じる
新人研修がきついと感じさせたままでは、モチベーションの低下、理解度の低下、さらには早期退職につながる恐れがあります。
事前にきついと感じさせない工夫を施し、少しでも新入社員のストレスを減らすようにしましょう。
具体的な工夫は、以下の通りです。
- 研修の目的・意義を伝える
- 研修プログラムを詰め込みすぎない
- 配偶先の上司との面談を設ける
- メンタルヘルス相談窓口を設置する
- グループワークを実施する
まとめ|必要な内容を組み込んで新人研修を成功させよう
それでは最後に、新人研修の内容をおさらいしましょう。
- マインドセット(社会人としての心構え)
- ビジネスマナー
- 自社への理解
- ロジカルシンキング
- PCスキル
- 配属先で必要な専門知識・スキル
ご紹介した内容はあくまでも一般的な事例で、新入社員のスキルや配属先の意見に合わせて、計画する必要があります。
新入社員が会社で活躍する人材に成長できるよう、効果的な研修を実施しましょう。